アレルギーについて

今回のテーマは「蚊」、「虫よけ剤」についてです。

ある報告を読んでいて皆さんにこの情報を知ってもらいたいと思いました。【報告①】まずは、ちょっと怖い話から。「地球上でもっとも人間を殺害する生物は?」と聞かれたら。それは「蚊」です。年間75万人が被害に遭っています。日本では「日本脳炎」、「デング熱」が有名でしょう。ブラジルオリンピック開催前で話題になった「ジカ熱」、アメリカでは「ウエストナイル熱」が非常に厄介な蚊媒介感染症です。日本脳炎は予防接種により予防が可能です。日本脳炎ワクチンの重要性についてもしっかりと認識するべきです。

 日本脳炎は1950年台の日本脳炎ワクチンが勧奨接種されるまで年間最高5000人を超える患者数でした。その後予防接種が開始されてから患者数は現在では年間10人を下回ります。これはワクチンによって日本脳炎ウイルスがいなくなったわけではなく、予防接種によって予防出来ているだけです。もちろん私が小児科医になったときには日本脳炎は10人未満の時代です。ですが、2016年5月に日本小児科学会に出席した折に熱弁されていたことを思い出しました。日本脳炎ワクチンが如何に重要な予防接種であることかを知るためには、日本脳炎の悲惨な状況を知っている昔の医者が、それを知らない若い医者に伝えることが大事だと。



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 さて日本脳炎はさておき、蚊による感染症を予防するには、刺されないのが一番。そのためには「虫よけ」ですね。虫よけ剤で代表的な成分は「DEETディート」と「イカリジン」の2種類ですが、日本の導入は遅かったです。①海外では承認されていた「イカリジン」を2016年まで承認しておりませんでした。②2016年まで海外では30~50%のDEET成分が販売されておりましたが日本は12%まででした。2016年から日本はイカリジンを承認発売し更にDEETの成分を30%まで引き上げました。これはまさに「デング熱、ジカ熱」の懸念からです。

 さてこの2つの成分の違いですが効果はFDA「米国の医薬品食品承認機関」は同等としています。DEET及びイカリジン各々の濃度の濃さは有効性ではなく効果の持続時間に影響することを覚えておいて下さい。


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(注1)米国のFDAではDEETは生後2か月から使用できるとしており、更に生後2か月から30%であれば使用できるとしています。
(注2)厚生労働省では「米国では注意喚起無し、と記載されている」としています。

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 最後に、米国と日本、その他の国では考え方が異なります。米国では日本と比較すると高濃度DEETを使用できることになっておりますが、米国のCDC(アメリカ疾病管理予防センター)は「各々のラベルの指示に従って使用した場合に安全です、買う前に必ずラベルを見てください」としています。【報告④】すなわち米国でDEETは2か月から濃度30%を使うことが許可されているからと言って日本でも同様に使用しても良いとはなりません。

米国のCDCでは以下の要件も述べていますのでご参考までに。【報告④】
①日焼け止めとの併用時は、日焼け止めを先に塗る。
②子供の手指、目、口、傷口、かぶれた皮膚に塗ってはいけません。
③大人の手に虫よけ剤を取って子供の顔に塗ってください。
④各々の薬剤、濃度によって違いますが数時間おきに塗りなおしてください。

では、皆さん夏の虫よけは「ラベルを見て成分をちゃんと選びましょう」ですね!(^^)!



【報告1】
題名:「ジカウイルス・デングウイルスなど蚊媒介性感染症ウイルス」 緒言~どうして今、蚊媒介ウイルス感染症か
雑誌名: 臨床とウイルス 44巻5号 P205-208


【報告2】
題名 :蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第4版)
出典元:国立感染症研究所


【報告3】
題名 :「今、蚊を考える-蚊媒介感染症に関する最近の話題」忌避剤に関する最近の話題
雑誌名: 臨床と微生物 44巻3号 P227-232


【報告4】
題名: Insect Repellents Help Prevent Malaria and Other Diseases Spread by Mosquitoes
「蚊によって拡散するマラリアやその他の病気を予防するための昆虫忌避剤」
出典元:CDC

※2019.01現在の情報であり今後更新は随時行っていきます。