アレルギーについて

今回のテーマは鶏卵調理方法によるアレルギー症状出現惹起についての注意喚起です。

離乳食において卵の調理方法が正しく認識されていないことが多く感じられ、それにより起きる卵アレルギーについてのお話です。

 最近相談を受けることが多いのが、「今まで普通に卵白、卵黄を食べていたのに今回卵を食べたらアレルギー症状が出た」という患者さんです。もちろん、食べる量や体調によってアレルギー症状が出たりすることがありますが、最近多いのが卵の調理方法の認識不足によるものが原因となっていることがよく見受けられます。そのため、なぜこのような事象が起こるのか、またこのような事象が今後起きないように注意喚起をしたいと思いました。

 まず、そのような患者さんに「どのようにして調理しましたか?」と、お聞きすると多く返ってくる答えは「炒り卵(スクランブルエッグ)、フレンチトースト、オムレツ、卵とじ(親子丼)、電子レンジを使った」などです。これらは、卵が十分に加熱されていない可能性が高いです。まず、加熱がしっかりとされていない場合にはサルモネラ菌による食中毒の危険性が増加します。したがって、特に2歳以下の乳幼児には十分な加熱が必要とされています。

引用「農林水産省のホームページ、卵による食中毒に注意しましょう!」

 まずは、ここです!小児科専門医としての注意喚起は、大前提として食中毒の危険性があるので乳幼児に生の卵成分の摂取は極力避けるべきです。とくに、サルモネラ菌感染症は日本では1,2位を争う食中毒の原因です。特に小児では意識障害、痙攣および菌血症を起こすなど重症化しやすく、回復も遅れる傾向がある、とされており非常に怖い感染症です。

引用「国立感染症研究所、サルモネラ感染症とは」

 さて、ここからがアレルギー専門医としての注意喚起です。まず、鶏卵は加熱によりアレルギーの原因タンパク質が減ることが知られています。そのため、10分茹でたものはアレルギー症状が出るけれども20分茹でたら症状が出ないことがしばしばあります。そのため当院では沸騰後20分茹でた鶏卵を摂取するように指示しております。なお、これを裏付けるのは以下の【報告③】です。これによると生卵を100とすると、炒り卵は10~15、ゆで卵12分だと0.01、ゆで卵20分だと0.005までアレルギーの原因タンパク質が減少します。では、これを今回の離乳食に置き換えた場合、本来であれば12分ゆでた卵を食べるべき乳児は0.01量しか食べていないのに炒り卵でいきなり10~15量を摂取することになります。即ち、ゆで卵に比べて約1000~1500倍のアレルギータンパク質を摂取することになります。加熱が弱ければさらにアレルギーの原因タンパク質の摂取量は増加します。

グラフ

もちろん、これを摂取しても問題ない乳児も多く存在します。しかし、それでもやはりしっかり加熱をしない理由にはなりません。保育園や保護者からは血液検査を希望されますが当院ではお断りしております。それは、鶏卵の加熱の重要性について正しい認識を新たに身に付けたなら今後このような事象が起こらないからです。なお、保育園、幼稚園、小学校の給食で加熱が弱い鶏卵の加工食品(マヨネーズを除く)は集団食中毒の原因となり得るので提供されないはずです。

 今回は、アレルギー診療をしていて近年増加していると感じられた、食生活の変化からくると思われる鶏卵アレルギーのお話を致しました。これにより、加熱がしっかりとされていなかったことでアレルギー症状が出現してしまう子供が少しでも減れば幸いです。

引用「農林水産省」
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/egg.html

引用「国立感染症研究所」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/409-salmonella.html


【報告3】
題名 : アレルギー実践講座 食物アレルギー患者指導の実際
雑誌名: アレルギー 58巻11号 1490-1496




※2019.07現在の情報であり今後更新は随時行っていきます。