アレルギーについて

Proactive療法について

Q1うちの子供がアトピー性皮膚炎です。予防的にステロイドを塗る治療法があると聞いたのですが?

まず、アトピー性皮膚炎の基本となる治療薬(外用剤)について炎症部位「赤い、痒い部位」の治療薬の第一選択はステロイド外用剤で、第二選択薬はプロトピック外用剤です【報告1】
今回は、その使い方についてのお話です。

 従来通りの痒くなったら、赤くなったらステロイド外用剤を使用し、良くなったら中止し悪化したら再度使用する繰り返しの治療をアクティブ療法と言います。プロアクティブ療法とは痒くなくても、赤くなくても予防的に治療薬「ステロイド、プロトピック外用薬」を使用することです。当院でもよく重症の子供や、なかなか治らない子供にはこの方法を使用します。その頻度は人によって様々です。毎日全身に塗る子供もいますし1週間に1回部分的に塗る子供もいます。これは、その子供に適切な最低量が各々異なるからです。

Q2この治療法は新しく、画期的なものですか?

10年以上前からプロトピック軟膏で研究が行われ、その後ステロイドについても臨床研究が行われ良好な結果を示します。ですので、とても新しい治療法ではなく、アトピー性皮膚炎を扱うアレルギー専門医の中では標準的な治療です。

Q3なぜ、この話題を取り上げるのですか?

以前から当院には近隣から遠方まで治療困難な重症アトピー性皮膚炎の患者さんが多く来院されます。しかし、そのような方に比べてとても軽症なのにこのプロアクティブ療法が過剰に行われている子供たちによく出会うからです。

Q4過剰に治療すると副作用でもあるのですか?

プロトピック軟膏とステロイド軟膏で話は変わります。

 まず、長期間のステロイドの使用and/or長期間の使用は皮膚のバリアの破壊「イメージとして皮膚が弱くなる」を招くことがあります。特に副作用は小児でよく考慮されなければいけないと述べています【報告2】そして、ステロイドのプロアクティブ療法は5ヶ月「20週」以上の有効性と安全性は検証されていません【報告3】

 プロトピック軟膏のプロアクティブ療法に関しては小児で10~12ヶ月の長期観察期間での有効性の報告があります【報告3】そして、ステロイドと異なり皮膚のバリア破壊を起こしません【報告2】ただし塗る箇所、量(保険医療での問題)などが限定され、2歳未満は使えない、最初にヒリヒリ感が出現することがある、などの一時的で軽微なものです。

Q4では、ステロイドのプロアクティブ療法は5か月で中止しなければいけませんね。

いえ、5か月以上の報告が無いだけであり有効性は保証されると思いますし、安全性もあるかもしれません。ですが、軽症では従来通りの保湿剤とステロイドのリアクティブ療法で充分とされ、中等症~重症ではプロアクティブ療法が選択されます。【報告1】そして、中程度~重症でも従来通りのリアクティブ療法で上手く治療出来ているのであればそれで良いはずです。

Q4結局先生は何が言いたいのですか?



軽症と考えられるアトピー性皮膚炎に、この良い部分だけを解釈して週に何回と決めてステロイドを継続的に機械的に漠然と使用されている子供達を診ることがあります。そのメリット、デメリット「副作用の懸念」をちゃんと理解し、画一的にアトピー性皮膚炎の子供達にプロアクティブ療法を行っていませんか?治療を必要最小限にするために定期的に減量出来ないか診てくれていますか?
非常に疑問が残ります。
その時は、ちゃんと診てくれる医師を探しましょう。

【報告1】
Atopic dermatitis
アトピー性皮膚炎

【報告2】
Long term treatment concepts and proactive therapy for atopic eczema.
アトピー性皮膚炎に対する長期間治療の概念と予防的治療

【報告3】
Systematic review of published trials: long-term safety of topical corticosteroids and topical calcineurin inhibitors in pediatric patients with atopic dermatitis.
小児アトピー性皮膚炎患者におけるステロイド外用とプロトピック外用の長期安全性について報告された臨床試験のまとめ


※2020.5現在の情報であり今後更新は随時行っていきます。