アレルギー疾患とその他の最新治療
ナッツアレルギーについて
今回はナッツアレルギーでよく頂く御質問です。
うちの子、ピーナッツアレルギーなのですが、
他のナッツも除去した方が良いですか?
他のナッツも除去した方が良いですか?
その御質問にお答えしたいと思います。
ナッツアレルギーは近年増加傾向にあり、重篤な反応を起こす事が多いため正確な診断による除去が求められます。今回は英国、スペイン、スイスの3か国共同で実施された研究報告の信頼性が一番高かったので、この1報告のみですが御紹介いたします。
この研究の正確さは、1つでもナッツアレルギーのある6か月~16歳の122名のお子さんに①ピーナッツ②アーモンド③クルミ④マカダミアナッツ⑤ピーカンナッツ⑥ピスタチオ⑦ヘーゼルナッツ⓼カシューナッツ⑨ゴマ⑩松の実⑪ブラジルナッツについて、ほぼ全項目である合計886回の経口負荷試験を行い、その結果を見たものです。11種類全部負荷試験するなんて、すごいですよね(笑)。そして、日本人に嬉しいのが「ゴマ」が組み込まれていることですね。
ちなみに、何のナッツアレルギーが多かったのでしょうか?
以下の表はナッツアレルギーの中の頻度です。やはりピーナッツが多いですね。しかし、私が思ったよりもアーモンドアレルギーは少なかったです。
※小数点以下四捨五入
※小数点以下四捨五入
品目 | 頻度(※) |
---|---|
ピーナッツ | 49% |
クルミ | 42% |
カシューナッツ | 34% |
ピーカンナッツ | 32% |
ヘーゼルナッツ | 32% |
ピスタチオ | 30% |
マカダミアナッツ | 11% |
ゴマ | 10% |
ブラジルナッツ | 8% |
松の実 | 5% |
アーモンド | 4% |
何か1つでもナッツアレルギーがあると他のナッツアレルギーを合併している可能性はどのくらいありますか?
2つ以上のナッツアレルギーを有している子供は60.7%でした。1つあると2つ以上のナッツアレルギーを有している可能性は高いですね。
何かナッツ間で強い関連性があるものは何でしょうか?
これは下の図をご覧ください。
強い関連性のあるもの、関連性が中程度あるもの、関連が少しあるもので色分けして強さを見ています。
クルミアレルギーがあるとピーカンナッツアレルギーを97%に合併しその逆は75%、ピスタチオアレルギーがあるとカシューナッツアレルギーが97%合併しておりその逆は84%合併しています。
関連はお互いにとても強いですが…、
ピーカンナッツって食べます?(笑)】
強い関連性のあるもの、関連性が中程度あるもの、関連が少しあるもので色分けして強さを見ています。
クルミアレルギーがあるとピーカンナッツアレルギーを97%に合併しその逆は75%、ピスタチオアレルギーがあるとカシューナッツアレルギーが97%合併しておりその逆は84%合併しています。
関連はお互いにとても強いですが…、
ピーカンナッツって食べます?(笑)】
ではここに載っていない関連性の更に低い、もしくは関連の無いナッツは自宅で食べても良いですか?
まずは主治医の先生と相談しましょう。
全負荷試験の内、4.8%でアナフィラキシーによるエピネフリン「エピペン注射と同じ成分」が投与されております。関連が低いだけでゼロでは無い所が重要な点です。恐らくこのアナフィラキシーを起こすかもしれないという点と、2つ以上ナッツアレルギーを有する可能性(前述の60.7%)が、何かしら1個のナッツアレルギーを持つ患者さんが、他のナッツを食べることに恐怖を抱き、多種類のナッツを除去するという事につながっているのだと思います。
全負荷試験の内、4.8%でアナフィラキシーによるエピネフリン「エピペン注射と同じ成分」が投与されております。関連が低いだけでゼロでは無い所が重要な点です。恐らくこのアナフィラキシーを起こすかもしれないという点と、2つ以上ナッツアレルギーを有する可能性(前述の60.7%)が、何かしら1個のナッツアレルギーを持つ患者さんが、他のナッツを食べることに恐怖を抱き、多種類のナッツを除去するという事につながっているのだと思います。
では先生はどうしますか?
当院では患者さんのご希望を聞いてからのご相談となりますが、ナッツアレルギーは重篤であり1品目除去する場合と2品目除去する場合、全項目除去する場合とでは食生活の質が大きく異なると思いますので、食べたくないと言う希望が無ければ他のナッツについても摂取し白黒ハッキリさせる方が良いと考えています。
以下は今回の研究結果の個人的な意見です。
ピーナッツアレルギーの頻度は一番多いものの、意外に他のナッツとの関連性があるものはありませんでした。そして、実はこの報告内でも英国、スペイン、スイスの3各国間でも違いはとても大きく、実際この研究が日本人に全て当てはまるかは別です。しかしとても整理され信頼性のある研究であり非常に参考となると思われます。 ちなみに、この報告ですが1月の入院中に読みました(笑)
以下は今回の研究結果の個人的な意見です。
ピーナッツアレルギーの頻度は一番多いものの、意外に他のナッツとの関連性があるものはありませんでした。そして、実はこの報告内でも英国、スペイン、スイスの3各国間でも違いはとても大きく、実際この研究が日本人に全て当てはまるかは別です。しかしとても整理され信頼性のある研究であり非常に参考となると思われます。 ちなみに、この報告ですが1月の入院中に読みました(笑)
Defining challenge-proven coexistent nut and sesame seed allergy: A prospective multicenter European study
負荷試験で明らかにされたナッツアレルギー「ゴマアレルギーを含む」の交差反応:多施設ヨーロッパでの研究
【2022.2現在の情報であり今後更新は随時行っていきます。】
負荷試験で明らかにされたナッツアレルギー「ゴマアレルギーを含む」の交差反応:多施設ヨーロッパでの研究
【2022.2現在の情報であり今後更新は随時行っていきます。】
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