アレルギー疾患とその他の最新治療
喘息の悪化による咳?風邪の咳?どちらの咳でしょうか?
今回は喘息を患っているお子さんの保護者様からよく頂く質問にお答えします。
この子、喘息なのですが咳がひどくて喘息の咳なのか風邪の咳なのか分かりません。
昔から我々小児科医はこども達が風邪をひいて少し経つと喘息が悪化することをよく経験します。では、喘息の悪化と風邪は何%くらい密接に関係しているのでしょうか?これには以下の報告が役に立ちます。
様々な研究を調査した結果によると、小児において喘息の増悪時に風邪ウイルスの検査を行った結果、36~92%に風邪ウイルスが検出されました【報告①】。日本の報告だと喘息の増悪時に約80%の割合で風邪ウイルスが検出されました【報告②】。その意味するところは、喘息が悪化した場合のほとんどに風邪ウイルスが何かしら関与していると考えられます。ですから、風邪の咳と喘息の悪化による咳はほとんど同時に併発していると言っても過言ではないと考えます。
私は常日頃から、喘息のお子さんにいつも言い続けておりました。
「風邪をひかないように気を付けてね♪」これには訳があったのですよ!(^^)!
様々な研究を調査した結果によると、小児において喘息の増悪時に風邪ウイルスの検査を行った結果、36~92%に風邪ウイルスが検出されました【報告①】。日本の報告だと喘息の増悪時に約80%の割合で風邪ウイルスが検出されました【報告②】。その意味するところは、喘息が悪化した場合のほとんどに風邪ウイルスが何かしら関与していると考えられます。ですから、風邪の咳と喘息の悪化による咳はほとんど同時に併発していると言っても過言ではないと考えます。
私は常日頃から、喘息のお子さんにいつも言い続けておりました。
「風邪をひかないように気を付けてね♪」これには訳があったのですよ!(^^)!
続きとなりますが、上記と同じような内容ですが以下のような質問を頂きます。
咳がひどいです。でも喘息の咳なのか風邪の咳なのか分からないので、吸入をした方が良いですか?
実際にその咳が風邪なのか喘息の悪化なのかは聴診器を当ててみないと分かりませんが、上記の報告を参照すると風邪の咳と喘息の悪化による咳はほとんど同時に併発しています。また、風邪の咳だけだった場合でも吸入(追加して吸入回数を増やす事を含む)をして悪いことはないと考えますので、咳がひどければ吸入はして頂いた方が良いと考えます。(私見です)
風邪(ウイルス)の種類は何ですか?
【報告①、②、③、④】によるとライノウイルスという風邪ウイルスが一番の原因となっています。ライノウイルスは通常のクリニック、一般病院レベルでは検査出来ないので馴染みが無いと思いますが、近年喘息と密接な関係がある風邪ウイルスとして注目されています。
有名なRSウイルスは乳幼児の喘息だけでなく65歳以上の喘息の悪化にも関連します。また2009年に流行したH1N1インフルエンザA型(新型や豚インフルエンザと呼ばれた)なども関連していました【報告②】。特にRSウイルスは重症化しやすいというイメージが強いですが、調査された結果によると喘息の重症化との関連性は認められませんでした【報告②】。
有名なRSウイルスは乳幼児の喘息だけでなく65歳以上の喘息の悪化にも関連します。また2009年に流行したH1N1インフルエンザA型(新型や豚インフルエンザと呼ばれた)なども関連していました【報告②】。特にRSウイルスは重症化しやすいというイメージが強いですが、調査された結果によると喘息の重症化との関連性は認められませんでした【報告②】。
【一言メモ】
*近年喘息は発作(attack)とは呼ばないで増悪(exacerbation)と表現が変わってきています。しかし、今まで発作と呼びなれていた患者さんにいきなり増悪と言われても困惑するので当面両方使っていこうと思います。そして、このExacerbation日本時には発音しにくいです。発音記号は「igzæ`sɚbéiʃən」←見たことない発音記号ばっかりで日本人には発音しにくくて困りますよね…。カタカナで「イグザァサァベェィシャン」…(-_-;)
【報告①】
題名 :Exacerbation of asthma and airway infection: is the virus the villain? (喘息の悪化と気道感染症:ウイルスは悪者?)
雑誌名 :J Pediatr. 2014 90:542-55
【報告②】
題名 :Virus detection and cytokine profile in relation to age among acute exacerbations of childhood asthma. (小児喘息における急性増悪時のウイルス検出及びサイトカインプロファイルと年齢の関係性)
雑誌名 :Allergol Int. 2015 64:64-70
【報告③】
題名 :Asthma Exacerbations: Pathogenesis, Prevention, and Treatment. (喘息の悪化:病因、予防、および治療)
雑誌名 :J Allergy Clin Immunol Pract. 2017 5:918-927
【報告④】
題名 :Community study of role of viral infections in exacerbations of asthma in 9-11 year old children. (9~11歳の喘息増悪におけるウイルス感染の役割の地域研究)
雑誌名 :BMJ. 1995 131:225-9
2019.02現在の情報であり今後更新は随時行っていきます。
*近年喘息は発作(attack)とは呼ばないで増悪(exacerbation)と表現が変わってきています。しかし、今まで発作と呼びなれていた患者さんにいきなり増悪と言われても困惑するので当面両方使っていこうと思います。そして、このExacerbation日本時には発音しにくいです。発音記号は「igzæ`sɚbéiʃən」←見たことない発音記号ばっかりで日本人には発音しにくくて困りますよね…。カタカナで「イグザァサァベェィシャン」…(-_-;)
【報告①】
題名 :Exacerbation of asthma and airway infection: is the virus the villain? (喘息の悪化と気道感染症:ウイルスは悪者?)
雑誌名 :J Pediatr. 2014 90:542-55
【報告②】
題名 :Virus detection and cytokine profile in relation to age among acute exacerbations of childhood asthma. (小児喘息における急性増悪時のウイルス検出及びサイトカインプロファイルと年齢の関係性)
雑誌名 :Allergol Int. 2015 64:64-70
【報告③】
題名 :Asthma Exacerbations: Pathogenesis, Prevention, and Treatment. (喘息の悪化:病因、予防、および治療)
雑誌名 :J Allergy Clin Immunol Pract. 2017 5:918-927
【報告④】
題名 :Community study of role of viral infections in exacerbations of asthma in 9-11 year old children. (9~11歳の喘息増悪におけるウイルス感染の役割の地域研究)
雑誌名 :BMJ. 1995 131:225-9
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