アレルギーについて

伝染性膿痂疹 (とびひ)について

今回は伝染性膿痂疹、俗に言う(とびひ)についての紹介です。

Q1とびひってどんな病気なの?


毎年夏になると多くなるこどもに多い皮膚疾患です。細菌のついた手を介して、細菌病変があっという間に他人や全身へ広がる様子が、火事の火の粉が飛び火するように伝染するため、(とびひ)と呼ばれます。

Q2治療はどうするの?

近年の治療と私が今まで行ってきた治療の転換期なのかどうなのかを最近の報告を元に再考したいと思い、海外の報告と日本の報告を取り揃えました。しかし、菌は国、地域によって抗生物質の効き方が全く異なると報告(下記表⑥、⑦)されておりますので日本の報告を多くしました。治療の根本となるのは抗生物質の内服、外用、消毒となります。

Q3消毒はした方が良いのですか?

まずは、消毒について報告⑤、⑥はそれぞれ違う消毒方法ですがある程度有効、④は有害になる可能性あり、と異なります。

Q4飲む薬はどれが良いですか?



内服については、①、②、④、⑤の報告が今まで当院での処方を支持(セフゾン or ファロム)。①、②、③、⑥がケフレックスを支持、⑦は日本で発売されていない抗生物質を支持しています。


Q5塗る薬はどれでも同じ?

外用剤は記載されていない④以外はすべてフシジンレオを推奨します。しかし、①②③⑤はアクアチムも支持し、さらに②と⑤はアクアチムのほうが効きにくくなることが少ないのでこちらをより推奨します。⑤は当院が今まで使用していたバラマイシンは効きにくくなっているため勧めません。


Q7結局どれが良いのでしょうか?

結論:抗生物質の選択は、大きくは国、小さくは市町村単位地域、医師による考え方が異なりますので一定の見解はあるものの個別には多少異なります。以下の表にまとめました。




Q7では、先生はどうするの?



①消毒に関しては今まで通りで使用しません。追加で使用するメリットがあまりないようですので保護者の手を煩わせる必要はないと判断しました。

②外用剤に関しては、バラマイシンの処方を変更しようと思います。しかし、フシジンレオ、アクアチムのどちらが良いのかは結論が出ません。症状が同じでも患者さんによっては処方が異なるかもしれません。なぜ異なるのか?報告⑤に記載してありましたが、サイクリング療法と言ってある程度の時期で薬を切り替えることが効きを良くさせ続けるためのポイントのようです。ですから、同じものを処方し続けることがあまり良くないようです。

③内服薬ですが、どれが良いということではないようです。ケフレックスは1日2回で済みますし、ファロムは水で溶かすとシロップのようになり粉の感じがなくなりますし、セフゾンは美味しいです。ですので、個々の患者さんに合わせて処方していきたいと思いますので今まで通り変更ありません。

①治療の実際 小児にみられる感染による皮膚疾患
雑誌名:臨牀と研究 94巻3号 375-380

②小児感染症のマネージメント 小児の皮膚軟部組織感染症
雑誌名::小児科臨床 68巻12号 2555-256

③小児感染症Q&A とびひのみかたと治療法について教えてください
雑誌名:Up-to-date子どもの感染症 4巻1号 Page30-31

④見てわかる小児の皮膚疾患】 感染性皮膚疾患 伝染性膿痂疹、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群、丹毒・蜂巣炎
雑誌名: 小児科診療 78巻11号 1603-1609

⑤伝染性膿痂疹 最近の動向
雑誌名: 日本臨床皮膚科医会雑誌 26巻5号 458-462

⑥Impetigo: Diagnosis and Treatment(膿痂疹の診断と治療)
雑誌名Am Fam Physician. 90(4):229-235.(アメリカ家庭医雑誌)

⑦The Primary Care Dermatology Society
(イギリスの皮膚科医協会)

【2017.8現在の情報であり今後更新は随時行っていきます。

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