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卵アレルギーとインフルエンザワクチン
毎年この秋になるとインフルエンザワクチンの接種が始まりますが、その接種において問題となるのが、卵アレルギーです。インフルエンザワクチン添付文書上にも卵アレルギーをもつ患者さんは「接種要注意者」に挙げられます。その理由として、製造概要のところに「本剤は、インフルエンザウイルスのA型及びB型株をそれぞれ個別に発育鶏卵で培養し、増殖したウイルスを…。」すなわちワクチンの製造に鶏卵を使っていますので、微量ですが卵の成分がワクチンの中に間違いなく残存します。そのため、「卵アレルギーの人がインフルエンザワクチンを接種するとアナフィラキシーになるかもしれない」という認識を医療従事者のみならず患者さんも持っています。その結果、卵アレルギーの患者さんは接種を控えようとする姿勢が医療側からも患者さんからもなされてしまいます。
卵アレルギーがあると接種できないのでしょうか?
いいえ、接種可能と考えられます。
下記で紹介する2つの報告書からも、ほとんどの卵アレルギー患者さんにおいて、インフルエンザワクチンでのアレルギー反応は起こりにくく、安全に接種可能と考えられますが、100%全身性のアレルギー反応(蕁麻疹、喘鳴など)が起こらないわけではありません。これらは、海外のワクチンでの報告ですが、日本のワクチンでは更に卵成分の含有量は少なくなっており、より安全と考えられます。
卵アレルギーがあると、最初に皮膚で反応を調べたほうがよいですか?また、量を少し減らして接種して、大丈夫だったら追加したほうがよいですか?
以前はワクチンで皮膚検査をおこなったり、分割して投与をしたりしていましたが、最新の報告では有用性はないと報告しています。下記の報告1)にも報告されています。
報告 1)
雑誌名:J Allergy Clin Immunol. 2011 Jul;128(1):218-9.
(世界で一番有名なアレルギー雑誌)
題名:Single-dose influenza vaccination of patients with egg allergy in a multicenter study.
(多施設での卵アレルギー患者へのインフルエンザワクチンの単回投与)
著者:Webb L, Petersen M, Boden S, LaBelle V, Bird JA, Howell D, Burks AW, Laubach S
内容:2009-2010に行われたパンデミックインフルエンザ(いわゆる新型や豚インフルエンザと呼ばれた)を含むインフルエンザワクチン接種292人を対象としています。そのうち、アナフィラキシー(重篤なアレルギー反応)をきたした人が 152人(22%)いました。IgE の平均値は6.01で範囲(0.35-100)です。
結果:97%の人が分割せずに、1回で全量投与しました。全身の反応をきたした人はいませんでしたが、2人は局所反応をきたしました。
結論:以前の研究と同様に重篤な卵アレルギーがあったとしてもインフルエンザワクチンの単回全量投与は安全と提案します。
しかし、この報告1) では全例に全身反応はなかったと報告していますが、2010年に報告された海外の報告 2) では卵アレルギー患者261名中7名(2.7%)には全身性の反応を認めたと報告していますので、全ての方にアレルギー反応が出ないわけではないようです。
報告 2)
雑誌名:Pediatrics. 2010 May;125(5):e1024-30.
(アメリカ小児科学会雑誌)
題名:Safety of influenza vaccine administration in egg-allergic patients.
(卵アレルギー患者へのインフルエンザワクチンの安全性)
著者:Chung EY, Huang L, Schneider L.
2014/01/31 現在の情報であり、更新は随時行っていきます。
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