アレルギーについて

花粉症についてのお話

今回は花粉症「スギ、ヒノキ、雑草等」についてのお話です。
その中で、良く頂く質問3つを挙げてみます。

TOP1.「先生、薬が効かないです。もっと強い薬に変えて下さい。」

TOP2.「先生、薬をちゃんと飲んでいるのに、目がかゆいです。」

TOP3.「先生、この薬よく効くのでください。(使わない方が良い薬剤なのですが…)」

※最後に番外編の治療薬剤費について。「私見です」 もちろん、これだけではありませんが、正しい知識を知って頂き花粉症の時期を少しでも快適に過ごせたら♫と思います。

Q1TOP1
先生、薬が効かないのです…。もっと強い薬に変えてください。

これは、ほぼ間違いの事が多いと思っております。薬は効くのですが、ご自身の重症度と薬の量があっていない事が多いと感じております。

まず、鼻炎は軽症→中等→重症によって当然のように薬は増えていきます。
鼻アレルギーガイドライン【報告1】によれば、軽症であれば1種類の内服薬使用、中等ならば内服薬1-2種類に点鼻薬で合計2~3種類の薬剤使用、重症ならば内服薬2種類に点鼻薬の合計3種類の薬剤使用が推奨されております。

皆さん、症状が強いのに少ない薬剤で効かないとおっしゃいます…。それは、ご自身の症状が強すぎて薬が足りていない事が多いと感じております…。皆さんは現在何種類の薬剤を使用されていますか?
特に点鼻薬を嫌がる方が多い気が致します…。

Q2「薬が効かないので変えてみたい」
についてはどうでしょうか?

これについて2つの薬の優劣が研究される事は通常ありません。
製薬会社の利害関係によってもし優劣が付けば、その劣の薬は全く売れなくなるからです。
しかし、薬ですので、その人に合う、合わないという事はあります。
ご希望であれば変更も良いと思いますが、それよりも、まず前述のご自身の重症度にあった種類の薬剤数がちゃんと選択されているか主治医の先生と相談しましょう。

Q3TOP2
先生、ちゃんとお薬を飲んでいるのに、目がかゆいです。

実は、内服薬は目には…。
眼アレルギーガイドライン【報告2】によると、治療は点眼が第一選択であり点眼が主体です。
点眼薬しか効果がない…って訳ではありません。ですが、内服薬は点眼薬に比較して効果は理論上1/25くらいしか薬剤の濃度が上がりませんので、内服薬の効果はかなり限定されます。もちろん、内服薬と点眼薬の併用効果は高いと報告されております。【報告3】

Q3TOP3
先生、この薬よく鼻が通ってよく効くので処方してください。
(長期間NGな薬です)

この薬剤の特徴は「直ぐに効いて鼻がよく通る」です。
この薬剤は1~3分以内に症状が一時的に強く改善するので患者さんは連用してしまいます。
しかし薬剤を中止すると鼻症状は逆にリバウンドしむしろ増悪するので、患者さんは中止することなく使い続けることになります。
連用により効果持続時間が短くなり、効果も弱くなり更に薬剤を連用し悪化循環に陥り、ついには薬剤性鼻炎という病気を新たに発症してしまいます。

通常10日以内の使用ならば…と、日本のガイドライン【報告1】にも記載されていますが、あまりお勧め出来るものではありません。

この成分は市販薬にも多く含有されており(海外では市販薬は3日で中止が必要と記載【報告4】)、そして、連用されている患者さんからこの薬を中止させることが難しい事が問題となっています【報告5】。

そのため当院では当該薬剤の処方は行っておりません。

最後に、薬剤の値段について「大人の話です」医療費補助の出る子供たちを含めて。

現在、ジェネリック医薬品の無い新規抗アレルギー剤が販売されており、そのうちの1つ「ルパフィン」は、他の薬剤と比較して鼻詰まりに対する効能を有しているので少し頭1つ抜けていると思いますが先発品「月に約1800円」しかありません。
例えばジェネリック医薬品があるクラリチンにすれば「月に約660円」、1140円浮きます。そのお金で点鼻薬はいかがでしょうか?
もしくは、違うタイプの内服薬2種類目はいかがでしょうか? 点鼻薬はジェネリック医薬品にすれば月に約1200円、鼻詰まりに効果が強い内服のジェネリック医薬品は月に約690円です。 しかし、点鼻薬についてですが、アラミスト点鼻薬「月に約3700円」はジェネリック医薬品がありません。当院で処方するナゾネックス点鼻薬はジェネリック医薬品が「月に約1200円」です。

私見です。
現在、花粉症の治療薬は、ある程度新しい薬剤「通常当院で処方する薬剤」であれば、効能効果、副作用は個人差がある程度でほとんど変わらないと思っています。
確かに2つの薬剤を内服したり点鼻をやったりする事は少しわずらわしいかもしれませんが、ご自身の不快感や日常生活への影響を考えると先発品1剤よりもジェネリック医薬品2種類を使用しても実費負担は同じで症状は良くなりますよ♪
ご検討下さい。
実際にご自身が調剤薬局で支払われる金額は、薬剤の価格にご自身の(0~3割負担分)をかけてください。

【報告1】
鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版

【報告2】
アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第 3 版)

【報告3】
Comparison of ketotifen fumarate ophthalmic solution alone, desloratadine alone, and their combination for inhibition of the signs and symptoms of seasonal allergic rhinoconjunctivitis in the conjunctival allergen challenge model: a double-masked, placebo- and active-controlled trial.
「花粉症の徴候および症状の抑制のためのザジテン点眼液単独、デザレックス単独、および2つ併用の比較試験」

【報告4】
Rhinitis medicamentosa「薬剤性鼻炎」

【報告5】
治療上の副作用および合併症 薬剤性鼻炎

※2022.5現在の情報であり今後更新は随時行っていきます。

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