アレルギーについて

生の果物で口の中が痒くなる口腔アレルギー症候群

「最近、生の果物や野菜を食べると口の中が痒くなります。」

我々アレルギー専門医にとっては、よく遭遇するありふれたアレルギー疾患ですが、近隣医療機関では分からないと言われ、当院に来院される患者さんが一定数いらっしゃいます。
そのため、今回はこの食物アレルギーの1つに分類される口腔アレルギー症候群について解説したいと思います。そして、このような症状を訴える患者さんは、小児から保護者の方まで幅広い年齢層にみられます。

Q1生の果物や野菜を食べると口の中が痒いです。でも缶詰やジュース等は痒くなりません。アレルギーでしょうか?

食物アレルギーの1つである口腔アレルギー症候群と推測されます。


Q2口腔アレルギー症候群って、何でしょうか?

食物アレルギーガイドライン【報告1】によると「口唇、口腔、咽頭粘膜を中心として誘発されるIgE抗体を介した即時アレルギー症状を呈する病型」です。

要は、アレルギー食品を食べると口腔粘膜でアレルギー物質が吸収されand/or接触性の蕁麻疹反応が起きる、ってことです。

Q3なぜ、口付近の症状だけなのでしょうか?

アレルギー反応を起こす蛋白質の構造が脆弱なため、口腔を過ぎる過程で胃液等の消化液によって蛋白質が直ぐに構造変化を起こし、アレルギー反応を起こす構造が保てなくなるからです。

また熱にも弱く加熱された加工品であるジュースや缶詰でもアレルギー反応が起きにくくなっております。

Q4何か原因はありますか?

花粉症が関連しています。しかし、国民病と言われるスギ花粉症ではなくシラカンバ花粉症「一般呼称はシラカバ(白樺)」が関連しています。

実はこのシラカンバ花粉症を起こす原因蛋白質はもともと特定の果物には含まれており、シカランバ花粉に反応する体質がある方が、その特定の果物を摂取すると当然の如くアレルギー反応が起こります。

Q3シラカンバって、長野県の白樺湖が有名ですが、うちの近くにはありませんし、その生息地域の近くに住んだこともありません。

そうですね、シラカンバ花粉症自体は東京ではあまり馴染みが有りません。

シラカンバの花粉は数十km飛散すると言われていますが、東京都から一番近い生息域の山梨県から東京都までの直線距離としても飛んでくるのは困難かと…、長野県からは無理ですね。

Q3では?シラカンバではないとすると何に反応しているでしょう?

シラカンバ花粉症を起こす原因となる同じ蛋白質をハンノキという木が持っています。
こちらは、東京都にも生息しており、これに反応していると思われます。

Q3口腔アレルギー症候群は、血液検査で分かりますか?


口腔アレルギー症状を起こす食物によって血液検査の有用性は変わりますが、一般的には有用でありません。

その理由は、既述したようにアレルギー反応を起こす原因蛋白質の構造はとても脆弱ですが、血液検査は構造が安定している蛋白質しか検出できないためです。

Q3では、食物アレルギー診断のゴールドスタンダードである経口負荷試験ですね?


いえ、経口負荷試験は必ずしも必要ではなく、皮膚テストをまずは行います。詳細は省きますが、アレルギー反応を起こす生の食品と検査用の針を用います。
針はあまり痛くありませんし血も出ません。現物の食品さえあれば簡単に行うことが出来、15分で結果判定可能です。
しかし、アレルギー食品が多岐に渡る場合には生の食品でアレルギー反応が出現し、加熱品で反応が出現しない場合には、問診だけでも診断が可能と思われます。

Q3今後の食生活はどうしたら良いでしょうか?


生の加熱されていない原因食物の摂取は控えられた方が良いと思われます。加熱されている缶詰やジャム、パッケージされたジュースは摂取可能です。

ほとんどの方は口腔の症状で収まりますが、一部アナフィラキシーを起こしやすい食品「豆腐、豆乳等の大豆製品」もありますので注意が必要です。

Q3どうしても、私は美味しい生の果物が食べたいので、治したいのです。


現在、海外では口腔アレルギー症候群の原因で最も多いリンゴを対象として治療が試みられています。【報告2】

もともと口腔アレルギー症候群はシラカンバ花粉症に反応する人が花粉症の原因蛋白質が含まれている果物を食べるから症状が出現する…。
それならば、その根本的原因であるシラカバ花粉症を免疫療法という根本的治癒に導く治療で良くすれば、口腔アレルギー症候群も治るかも?って、いう理にかなっていますね。
しかし有効、無効両方の報告があり結論は出ていません。そして、残念ながら2022年10月現在日本ではシラカバ花粉の舌下免疫療法薬は承認発売されておりません。

【報告1】
食物アレルギー診療ガイドライン2021

【報告2】
「口腔アレルギー症候群-診断と治療」口腔アレルギーに対する免疫療法 ENTONI 62-70(2021.02)

【2022.12現在の情報であり今後更新は随時行っていきます。】

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