アレルギーについて

便秘について

今回は便秘についてのお話です。
2018年11月に新規便秘治療薬「モビコール」が発売されました。

新規薬剤は発売後6か月間、2週間以上の処方は出来ません。そのため当時、当院では取り扱っておりませんでした。しかし、2019.8の日本小児外来学会に出席した折、複数の施設の開業医がこのモビコールを使用し良好な結果を得ていると報告しました。その後、当院でも使用し良好な結果を得られており、便秘治療の大きく変わりました。便秘でお困りのお子さんをもつ保護者から頂く質問も交えながら便秘の定義、食事療法、薬物療法、治癒するまでの経過について順にお話ししたいと思います。

Q1うちの子、便秘なのですか?



よくいただく質問です。
まず便秘の定義です。

米国とEUが合同で作成したガイドライン【1】、日本のガイドライン【2】によるとRome Ⅲ という診断基準を用いることを推奨しております。 以下の症状が、2つ以上当てはまり、1か月以上続く場合便秘と定義されます。

 4歳未満4歳以上
1週間に2回以下の排便1週間に2回以下の排便
過度の便貯留の既往 
痛みを伴う、
あるいは固い便の既往
痛みを伴う、
あるいは固い便の既往
大口径の弁の既往 
直腸に大きな便の塊直腸に大きな便の塊
少なくとも1週間に1回の
便失禁
少なくとも1週間に1回の
便失禁
トイレが詰まるくらいの
便の既往
トイレが詰まるくらいの
便の既往
 便を我慢する姿勢や
過度に便を貯留しようとする

しかし、この表のRome Ⅲに当てはまらない子供もいます。それ以外にも「2週間以上続く顕著な排便苦痛」なども使用されます。

Q2食事「食物繊維」で改善出来ることはありますか?

食物繊維については一般的に知られているよりも、その効果はとても弱いと考えられます。

海外と日本のガイドライン【報告2】では見解が異なります。欧米のガイドライン【報告1】では、薬剤「ラクツロース」よりも良い結果は得られませんが何もしないよりは良い結果が得られる程度で、サプリメントなどの追加使用を推奨しません。一方、日本のガイドラインは最近のいくつかの研究結果を基に食物繊維を増やす試みを推奨しています。

Q3では、食物繊維ってどのくらいが適切な摂取量なのでしょうか?

以下に海外と日本における小児の推奨される食物繊維量は以下に示します。

*日本人の食事摂取基準(2020 年版)厚生労働省から抜粋 人種によって体格も異なりますが台湾の報告は日本人に近似していますね。

 日本*台湾米国
3~5歳8g以上10g8〜10g
6~7歳10g以上10g11〜12g
8~9歳11g以上14.5g13〜14g
10~11歳13g以上14.5g15〜19g

Q4では、水分はどのくらい取れば良いのですか?


水分摂取は食物繊維よりもデータは不足し、日本、海外のガイドラインともに追加の水分摂取を支持しません。【報告1】【報告2】

Q4薬は何が良いのでしょうか?


維持療法として欧米の共同ガイドライン【報告1】ではモビコールを第1選択として推奨します。モビコールが使用できない場合には第2選択としてラクツロースを使用します。日本のガイドライン【報告2】が作成された2013年時点ではモビコールは保険適応となっておらず推奨しておりません。ただし、モビコールは海外では年齢制限がありませんが、日本では2歳以上でしか使用できませんのでご注意ください。

Q5便秘は治るのですか?


約60~90%は1年以内に症状が改善していき50~70%は6ヵ月~数年で治癒するとされています。逆に言えば30~50%は重度の症状が続くとの報告があったり約25%は成人まで移行するとの報告もあったりします。【報告3】  

一番大きな研究としてオランダ【報告4】から、薬物治療なく治癒するのは約1年で約40%、5年で約60%、10年で約80%が治癒を獲得しています。そして、成人までに改善しない要因として、以下の3点①治療開始が遅れた②発症年齢が遅い③排便頻度が少ない、を挙げています。

思ったよりも長い付き合いになりそうですね。
一緒に治療していきましょう。

【報告1】
Evaluation and Treatment of Functional Constipation in Infants and Children: Evidence-Based Recommendations From ESPGHAN and NASPGHAN
乳児と小児の機能性便秘の評価と治療:欧州小児栄養消化器肝臓学会と北米小児消化器肝臓栄養学会からのエビデンスに基づく推奨

【報告2】
小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン

【報告3】
Childhood Constipation: Is There New Light in The Tunnel?
子供の便秘:トンネルに新しい光はありますか?

【報告4】
Long-Term Prognosis for Childhood Constipation:Clinical Outcomes in Adulthood
小児便秘の長期予後:成人期への臨床転帰

【2020.12現在の情報であり今後更新は随時行っていきます。】